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今回は当ブログ初のレンズレビューだ。正直レンズのレビューはあまり得意ではないのと、レンズの描写は被写体や撮影距離、絞り値や特に古いレンズは個体差等の影響もあるため、私が良い悪いとブログに書くのも気が引けるのだ。また、私の所有するレンズはレビューも数多く見つかる定番のニッコールが大半のため、改めて書くほどではないということでもある。
ではなぜこのレンズをレビューしようと思ったかといえば、友人がこのレンズをとあるルートから譲り受け、それを借りたところ、レビューして欲しいとのことだったからだ。また、ネット上でも情報に乏しく特に描写に言及したものは見つからなかったからだ。

タムロンのサイトに情報がある。リンク

このレンズは世界初の24mmスタートの標準ズームというコメントも見られたが、1987年にはAFニッコール24-50mmも発売されている。ニッコールは広角ズームという扱いなのかもしれないが良く分からない。公式サイトでは「世界に先駆けて」という表現にぼかされているので、この文句が世界初と解釈されたのかもしれない。

スペックは以下のとおりだ。
焦点距離:24-70mm
開放F値:3.3-5.6
レンズ構成:7群8枚
最小絞り:22
最短撮影距離:0.4m
最大撮影倍率:1:4.7
フィルター径:62mm
重さ:270g
最大径X全長:76.4mmx59.6mm
発売時期:1994年

特筆するような点はあまりないが、270gとコンパクトで軽量なのは悪くない。テレ側の解放がF5.6というのは少々暗く感じるが、普及型のズームレンズとしては標準的だろう。(というか私の常用レンズがMFニッコール単焦点なのでF3.5より暗いレンズはどうも慣れない)

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次に外観と使用感を紹介する。
マウントは金属製で鏡筒は樹脂製だが作りは比較的しっかりしている。ピントリング、ズームリングの動きも予想以上に滑らかで良い感触だ。トルクムラが無いのも好感が持てる。写真では分かりにくいが、鏡筒は黒ではなくダークグレーのような色だ。
ただ、ズームリングのラバーがツルツルで数カ所に「TAMRON」のロゴが入ったものなのは微妙だ。普通に凹凸のあるパターンの方が操作しやすいし、デザインも優れているとは思えない。
また、絞り環には欠点がある。それは、F22まで絞ると勝手にロックされてしまう点だ。 絞り環にあるボタンを押さないと解除できない。絞り環を最小に固定する前提のボディでは大きな問題ではないのだろうが、F70等絞り環を使用するボディーでは使いにくい。 コストカットのための部品点数削減でこのような仕様になったのだろう。
他に気になった欠点は、レンズ着脱時に持つ部分がないところだ。ほぼ全面がピント、ズーム、絞りのリングなので、リングを持って着脱する事になる。回転してしまったりしてあまり気分の良いものではない。ニコンのMFレンズの銀リングのように着脱時に持ちやすい部分があればよいのだが。廉価な標準ズームなので頻繁なレンズ交換は想定されていなかったのだろうか。


次に実写画像だ。このレンズは後群にカビがあるため、本来の描写とは異なる(可能性が高い)ことをご了承の上、参考としてご覧いただきたい。
以下D7100でJPEG撮って出しだ。フルサイズデジタルを所有していないためAPS-Cでの試写であることを重ねて了承いただきたい。
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24mm F3.3

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24mm F4

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24mm F5.6

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24mm F8

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24mm F11

ワイド側の描写だ。全体的にフレアが出ていて弱いソフトフィルターを使用したような描写だが、中心部はホテルの窓の手摺を見ていただければ分かるように、解放からだいぶ解像している印象だ。フレアはカビ由来の可能性が高いと考えられるので、状態の良い個体ではかなり良好な画像が得られるのではないただろうか。
一方周辺部はAPS-Cでも解放ではかなり眠く、絞り込みで徐々に改善するが、苦しいだろう。特にフルサイズやポジフィルムで使用した場合の周辺部はだいぶ厳しいのではないだろうか。ただ、改造の芯はあるのでコマ収差もしくは非点収差に由来するフレアだと思われる。
画像は無いがF22では回折で全体的に甘くなるので、F11で最も良好な画像が得られるだろう。歪曲収差は比較的良好で、特殊な被写体を覗いて気にならないレベルだろう。

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70mm F5.6

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70mm F8

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70mm F11

望遠側では、上記と同様ソフトフィルターのようなフレアが出ているが、解放から解像は良好で、周辺まで安定している印象だ。絞りによる変化も少ない。

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70mm F5.6
望遠側最至近での撮影だ。0.4mとだいぶ寄れるので使い易いが、ボケはいわるゆ二線ボケのようなボケ方で好ましく感じる人は少ないだろう。


全体的に想像以上に良好な描写だったが、カビの影響(の可能性が高い)フレアが出ていてコントラストの低い眠い写りになっていたのが残念だ。状態の良い個体が手に入れば再度試してみたいと思っている。

※追記
掲載の画像は圧縮の影響で描写が分かりにくいのでピクセル等倍に切り出した画像も追加する。こちらの方が違いが分かりやすいだろう。
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24mm F3.3中心部

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24mm F3.3周辺部

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24mm F11中心部

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24mm F11周辺部

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70mm F5.6 中心部

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70mm F5.6周辺部